論 考

小池氏、野心がポロリ!

 5日の記者会見で、小池氏は記者に国政復帰の意思を問われて、不快感を示した。いわく、「そういう意思を一度も言ったことがない」と応じた。

 小池氏が感情的反応をすることはほとんどないから、珍しい。

 以下、わたしの分析である。現役都知事が、しかも厄介な問題が山積しているのに、国政に復帰したいなどと口走るわけがない。

 しかし、4年前の都民ファースト・ブームの際、小池氏は、純情(お粗末)前原氏を手練手管で翻弄して、民主党解体という大マジックをやってのけた。それ自体が国政へのおおいなる野心を示している。歴代自民党領袖で、最大野党を解体したような人物はいない。

 心にもないことを語ったり、事実を隠したりするのは、政治家の武器である。「言ったことがない」などと応じて不快感を示したのは、言いたくないことを衝かれたのである。体調不如意のためか、思わず本音が出た。

 まったくそのような意思がなければ、はたまた、目下厄介な課題を抱えていて、人々の支持を失いたくないはずだから、破顔一笑して、「都政一路、都政の困難を克服するために邁進いたします」と答えるのが、小池流のはずである。

 小池氏は、自民党内のシンパと相通じて、今回都議選では、あえて自民党との対決戦術を控えた。たまたま体調不如意であったが、それも効果的に活用した。つまり、「勝者なき都議選」の勝者は、実は小池氏であった。

 自民復党への条件が大きく前進したのだから、それを見破られたと思って、不快感を示したといえば、ちょっと読み過ぎかもしれないが——まあ、まあ。