論 考

G7からG8へ

 バイデン氏が、G7からNATOの会議を経て、16日にはジュネーブでプーチン氏と会談した。ご両者ともに、階段の雰囲気は「よく、前向き」であったと記者会見で語り、共同声明では「米ロ2国間戦略的安定対話」を近い将来開始することで合意したそうだ。

 なるほど、ロシアのほうが中国より与し易いと考えたか、あるいは、中ロブロックを形成されないように、分離作戦を考えたか――など想像できるが、中国に対する姿勢との極端さには違和感が残る。一方には剣突食わせて、他方には手なずけようとするみたいな違いだ。

 人間は好き嫌いの生き物であって、権力の地位が高くなるほど人間の内面では好き嫌い、つまり趣味が占める割合が高まりやすい。もちろん、幼稚園児ではないから、方便・手練手管を弄するのだが、ちょっと趣味に傾斜しすぎている。

 対中警戒というよりも、本音は対中ジェラシーである。そもそも、米国的スタンダードを絶対視することは、客観性・公平性の理屈からして不可能である。米国といえども世界における1国である。バイデン流デモクラシーを歪めないためには、趣味やご都合主義を抑えてもらわねばならない。

 G7に中国が入っていない以上、G20ほうが参加国の中身が濃い。米国が戻ってきたことの次は、G7が、中国を加えてG8になるべきだ。それができないようでは、やはり、物足りない。