論 考

記者会見とペナルティ

 大坂なおみ選手が、4大会第2戦・全仏オープン1回戦勝利後のコートでのインタビュー・取材には応じたが記者会見を拒否したので、主催のWTAから罰金1.5万ドル(165万円)を科せられた。

 主催者もメディアも、広報活動によってプロ・テニス界の認知度が上がるのだから、当然記者会見に応ずるべきだというのが基本的考えだ。大坂選手は、選手が傷つくような質問をするメディアに、つねづね不満をもっているようだ。

 プロスポーツ業界は、注目を集めてファンが増えなければ事業として持続できないことを押し出す。実は、選手の人権などより、業界のコマの1つとして見ているだろう。業界が盛んになると、組織関係者は、選手1人ひとりが盛り立てたのだということを軽視しやすい。

 選手が自分の精神と技術を磨き上げようとして精進すればするほど、組織と個人の「目的」意識が離れていく。まして、メディアは報道が不特定多数に強い関心を持ってもらいたいのであって、業界の繁栄自体が目的ではない。選手に恩着せがましい気持をもつのは傲慢である。

 わたしは23歳の若者の純粋さを評価する。

 さてそこで、議会や記者会見でちゃらんぽらんな答弁ばかりしている政治家にこそ、ペナルティをどかんと科してやりたい。こちらは、100%本業を手抜きしているのだから、同情の余地がない。