論 考

運命論者が増えたか?

 厚労省の新型コロナ対策推進本部は、「五輪の所管ではないから、五輪開催による社会への影響については論議しない」と、呆れかえった態度を表明している。

 悪名高い縦割り官僚組織の特徴といえばそれまでだが、組織委員会は選手や関係者の扱いのみを検討しているだけで、これでは、何が起こっても不思議ではない。もちろん、専門家によるアドバイザリーボードは異議を表明しているが、目下は職場放棄のような方針のままだ。

 米国感染症専門家が、「東京五輪は最良の科学的証拠に基づいていない」という論文を米国医学誌に発表した。まったく大きな問題が放置してあるのだから、エビデンスも何もあったものではない。

 大きなイベントは間違いなくリスクが大きい。GoToキャンペーンで苦い失敗をしたにもかかわらず、蛙のツラに水である。いや、スガのツラにだ。

 わが官僚体制においては、自分らの関わる部分について、何か発生した場合の口実を準備しておくのが得意である。逆にいえばできるだけ余計なことはやらない。こういうことが発生しないように采配するのが政府指導部の仕事だが、菅内閣の仕事の粗雑、力不足、センスの悪さはもはやどうしようもない。

 ファイザー製ワクチン866万回接種後、目下85人が亡くなったという。脳卒中・心不全が多いようだが、因果関係不明というのも具合悪い。(これは、接種予約で焦っている人を脅かすつもりではない)

 いまは隆々たる中国だが、30年前には、食器を割ったウェイトレスを叱ると、「この皿は割れる運命にあった」という弁解をするんだという笑い話があった。いまや、これは、そのまま日本が輸入したみたいである。生々流転、南無阿弥陀仏。