論 考

五輪の政治的効果

 本日26日、朝日新聞は「夏の東京五輪 中止の決断を首相に求める」と題した社説を掲げた。全国紙が五輪中止を明確に意見したのは初めてだ。

 丸川五輪相は記者会見で、政府は中止する意図なし・中止しても責任(損害)を取らずと表明している。都知事の小池氏が中止の意思表示をするのではないかという観測が流れているなかで、それを牽制したようだ。

 このところ五輪推進論は、もっぱら精進してきた選手が気の毒だという情実論である。コロナでふうふう言っている国民が気の毒だとは言わない。

 問題の根源は、コロナ感染拡大である。施政の第一は、感染拡大阻止にある。問題は、昨年から感染拡大阻止第一の政策が打ち出されず、つねに、五輪実現のために感染対策にサジ加減を加えてきたことだ。ここへきて五輪開催論が大きな批判を食らっているのは、そのためである。

 都議選告示が6月20日、投票は7月4日に迫る。小池旋風で自民党を圧した都民ファーストの会は昔日の勢いがない。今回の都議選で五輪開催に対する態度が焦点となるのは必然である。これほどわかりやすい都民ファーストのテーマはない。やるべきかorやらざるべきか――小池氏が、またまた選挙結果を大きく左右する位置にある。小池氏お得意の分野! である。

 開催しても、しなくても、東京都の財政は大きな問題を抱え込んでいる。ポピュリズム政治家の先頭をいく小池氏がどんな決断をするか? 決断次第で、まさに、菅内閣どころか、自民党をぶっ飛ばす可能性もある。すでに、タイミングを図って虎視眈々か。