論 考

歴史を繰り返す連中

 菅氏は、とにかく五輪開催しか念頭にない。それに対する風当りを弱めるためには、高齢者に対するワクチン接種を7月末完了ペースに乗せたい。菅氏の気持ちは手に取るようにわかる。

 五輪開催一直線は、GoToキャンペーンの失敗の再現である。まったく、学習効果が出ていない。昔は、同じ失敗をする連中のことを莫迦と称した。

 菅氏の政治家としての器は、戦略家ではなく、小才がきく戦術家のレベルである。遠謀深慮ができないから、このような事態で五輪を開催すべきかという戦略論が立てられない。

 菅氏は既定方針通りに動くオペレーター、官僚政治家タイプである。自分がそうだから、官僚を操縦することに長けてきたわけだ。ただし、異変が生じた場合に、もう1つ上の段階で思索する力が弱い。

 自民党は、よくよく人材が枯渇してきた。菅氏に諫言する人士がいない。人と人、組織において、最大の信頼関係が確立していることを証明するのが、諫言すなわち忠告である。上下、左右に自由な忠告が可能なとき、その組織は活性化している。いまの自民党は、人材枯渇で、数以外には組織力が衰弱している。

 安倍・菅と続いた自民党政権は、その朋党性が露骨である。朋党を固めているのは権力の座にあることだけである。狡猾な人間が賢明な人間として通用するほど社会に害をなすものはない。