論 考

パールバックの激励

 パールバック(1892~1973)の言葉を思い出す。1945年10月2日の毎日新聞に掲載された、敗戦直後、これから民主主義の民として出直す日本人に寄せた言葉だ。

 ――民衆が自由で独立的で自治的である国は、いかなる国でもつねに悪なる人々との間に闘争がおこなわれる。もし、この闘争が存在しないならば、それは暴君が支配して、善き人々が力を失っていることを意味する。――

 続いて、――善なる人々において、万一自由を享受して、しかも責任を負わずに生活できるような国を夢想しているとすれば、彼らはその空中楼閣的な夢から呼び覚まされなければならぬ。――

 当時、なぜ惨憺たる敗戦を体験せねばならなかったかについて、しっかり理解できていなかった「無辜の民」は、ムチ打たれたように感じたかもしれない。しかし、これは心のこもった激励である。

 広島の参議院選挙再選挙が始まった。「誰がやっても同じだと思っていたが、今度は一票を投じる」という1人の市民の声が新聞に載っていた。その気持ちを育てていただきたい。

 ミャンマーでは、強盗と化した軍部に対する人々の戦いが続いている。暮らし向きの困難、自分が暴力の被害をうける恐怖に耐えておられる。