論 考

米国政権の政治再建

 バイデン氏が記者会見で、まず、ワクチン接種を就任100日までに2億回にすると語った。当初は1億回だったが、50日で達成したので挑戦目標を引き上げる。アフガン紛争は年内終結の方針を打ち出した。先日、国防長官がアフガンを電撃訪問したのは、その方針を見極めるためだったようだ。

 バイデン氏は2024年に再出馬の意志を表明した。高齢だから1期4年で終わりだろうという観測が支配していたが、ご本人は意気軒高だ。

 いままでのところ、バイデン氏の上院議員と副大統領時代を合わせて44年という経歴がモノを言う堅実な采配ぶりである。前任者が政治を低質の娯楽番組にしていたことを思えば、確かに変貌著しい。

 注目が集まるのは外交であるが、目下のところ、米国単独のスタンドプレイは控えている。いわゆる「新しい冷戦」で中国を抑え込むために躍起になるのか、そうではない形で、相当傷んだ世界経済において、世界秩序の安定へ歩むのか。

 政治的行動は、道義と権力の微妙な均衡から形成される。この微妙さを忘れずに限りなく王道政治を進んでほしいものだ。

 ついでだが、日本政府が迂闊な(バイデン政権の)読み方をして、つまらぬ先走りをしないことを期待する。