論 考

新鮮な心地がした判決

 主要先進7か国で同性婚を認めていないのは日本だけである。

 昨日の札幌地裁(武部知子裁判長)が、「同性愛者が結婚による法的効果の一部ですら受けられないのは合理的根拠を欠き、法の下の平等を定めた憲法第14条に違反する」と判決したのは立派な見識だ。

 もちろん、訴訟を起こした方々の勇気を称賛する。1992年あたりから同性愛は精神疾患ではないという科学的知見が社会的に浸透しつつある。

 憲法第24条の「婚姻は、両性の合意に基づいて成立し」とあるのは、牢固ととした家制度思想に対して、本人たちの合意を尊重したもので、当時は同性の婚姻という思考がなかったのだから、同性婚自体を排する目的の条文ではない。

 このほどバチカンがLGBTQを祝福せずとの見解を出した。フランシスコ教皇は、2018年に同性愛者の告白に対して、「神が(あなたを)そのように作った」と応じたが、この見解に対するカトリック内部の異論がまだ強い。

 社会通念なるものは容易に変化しないが、1人ひとりがわがこととして考えるなかから、やがて過去の問題となるにちがいない。新聞を読んで、ひさびさ新鮮な心地がした。