論 考

個人的野心?

 ミャンマーの国軍クーデターの理由として、国軍は先の総選挙不正を指摘するが、国際選挙監視団はきっぱり否定している。

 そこで登場しているのが、ミンアウンフライン国軍最高司令官の個人的野心説である。2016年に最高司令官の任期を5年延長したが、その期限が間近い。総選挙で軍系政党である連邦団結発展党(USDP)が敗北して、軍部の人気が低調化しており、ミンアウンフライン氏は大統領を狙っていたが果たせそうにないので博打に出たというわけだ。

 ミンアウンフライン氏は1956年生まれで、じわじわ出世してきたらしい。ロヒンギャ問題では指揮を執って、点数を稼いだことになっている。また、一説には、退任するとロヒンギャ問題の責任追及を恐れているともいう。

 まだ、今回のクーデターの全貌は不明だが、案外、これらの説が当たっているかもしれない。

 政治における国軍人気が低落している。前述のような理由だとすれば、圧倒的人気を有するスーチー氏らの国民民主連盟(NLD)を中心として、反クーデターの行動が起こるのではないか。ならば、ミャンマーのデモクラシーを育てることになるが、これは本物の革命だから、命懸けだ。