論 考

メルケル語録

 ツイッターがトランプ氏のアカウントを永久停止したことについて、メルケル氏は、「言論の自由が、SNS経営陣によって決定されるべきではない」とコメントした。

 SNSは民間企業であり、いわば個人の立場だから、それがプリンシプルになるのはよくないというわけだ。もちろん、社会的立場がどうであろうとも、嘘や暴力を扇動することは非常に問題である。国家が法規制の枠組みを策定するべきだと主張する。

 この見解は基本的に正しい。一方で、1人ひとりが、嘘や扇動を見抜く力をもち、嘘や扇動を許容しないという見識を構築して、それが社会の気風であれば、この4年間のトランプ現象は発生しなかった。

 ヒトラーの苦い歴史をもつ、ドイツ首相の言葉は相変わらず含蓄が深い。

 顧みて、わが国ではトランプ氏ほど派手ではなかったにしても、苦い体験が続いていて、しかも決着がついていない。アメリカ的民主主義、ドイツ的民主主義と比較して、日本的民主主義が相当後塵を拝しているのが残念だ。