論 考

与野党伯仲

 バイデン氏の政権運営は、上院を共和党が多数派になりそうなので、民主党が確実に結束していることを前提して、共和党穏健派を取り込むことが必要になる。しかし、民主党内のサンダース氏らいわゆる急進派が穏健路線では不満を募らせる危惧を抱えている。

 これは、バイデン政権にとってはしんどい話であるが、権力対国民というカテゴリーで考えると、決して不都合ではない。いかなる政権にせよ、気配り・目配りが手薄になれば、政権運営が粗雑になりやすい。意志決定の困難な問題については、つねに世論に課題を投げかけて、権力と国民のキャッチボールをおこなう。これがデモクラシーの大原則だ。

 ひるがえって日本ではどうか。与党勢力が盤石でこの数年、無理が通れば道理が引っ込む政治が平然とおこなわれてきた。最近でも日本学術会議会員任命拒否問題で、国民の関心をおおいに喚起したが、政権はきちんと説明せず、うやむやのままで、学術会議の改組を持ち出して乗り切ろうとする。

 一事が万事、このような政治がずっと行われている。もし、日本も米国のように与野党伯仲状態であれば、このような事態にはならない。政治には緊張感が絶対不可欠だ。伯仲であっても、道理が世論の支持を獲得するという、本来のデモクラシー政治の道を歩みたいものである。