論 考

権力亡者をボイコットするべし

 米国バージニア州知事選に出馬している共和党上院議員のアマンダ・チェース女史が、大統領選は不正であり、闘い続けねばならぬ。トランプ大統領は「戒厳令」を発動すべきだ、と発言して物議をかもしている。

 つまりは、大統領権限で選挙結果を変えろという。もちろん、こんな乱痴気が実現することはなかろう。

 女史は共和党の州知事候補に選ばれる可能性が少ないと見られているが、それだから、尚更際立った強硬論をぶって、共和党内を掻き回そうとする。さすが米国は「自由の国」だと、笑ってはいられない。

 自己の主張が少数派になると、ますます過激になる。わが国でもかつて軍部の一部によるクーデター(未遂も含む)が多かったし、極左の赤軍派事件もあった。言葉を全面否定して、実力行使による政治をやろうというのである。

 世界中に権力亡者が増えた。権力さえ掌握すればなんでもできるというごとき思想を持つ人間を、権力のある地位に就けてはならない。少々の知恵者であろうと、弁舌巧みであろうと、権力亡者は歴史の流れを後退させる。

 来年は、衆議院選挙の年であるが、権力亡者を見抜くのは、有権者1人ひとりである。くれぐれも忘れたくない。