論 考

コロナ対策、発想の転換を

 いままでのコロナ対策は、命を守るためには経済活動が重要だという枠組みで取り組んでいる。果たして、これは妥当だろうか?

 M・ウルフ氏(フィナンシャルタイムズ)による興味深い記事を見つけた。米ハーバード大学のカトラー、サマーズ両教授の研究では、米国のコロナによる被害総額は16兆ドル(1,600兆円)でGDPの75%に相当する。内容は、逸失額+健康被害の合計である。

 米シンクタンクの新経済思考研究所(INET)の研究によると、感染拡大阻止と経済活動の二兎を追う中途半端な対策よりも、まず、感染拡大阻止に全力投球したほうが死者も経済も損失が少なくなるとの「経験的」分析結果を発表した。だからコロナ感染第一波のときに、徹底して対策するべきだったという。たしかに拡散拡大すると有効な対策がない。

 この考え方は、パンデミック対策の基本は「経済を救うためにも、まず人命第一」に取り組むべきだという論理になる。

 わが国ではこのような研究をおこなっているのかどうか知らないが、なるほど、コロナ感染拡大が目下の世界的大騒動の根源なのだから、「すべてのコロナ対策は人命第一」で組み立てよという主張には論理的説得力がある。

 わが国の対策においては、科学的・論理的な説明が全然ない。発想の転換をするべきではないか。