論 考

議会人は奮起せよ

 米国大統領選の混乱は、トランプ氏の乱暴な政治的かき回しと、氏を甘やかせた共和党に責任がある。今回の改選で上院はまだ最終的に確定していないが、バイデン氏と民主党からすれば、よくて50対50、悪ければ52対48で共和党に多数議席を握られる。

 バイデン氏の組閣が次々に発表されていて、顔ぶれの斬新さに期待が集まるが、たとえばサンダース氏ら革新派の入閣がないことに不満があるらしい。しかし、上院はもとより、下院は民主党が多数派だというものの期待された躍進はならず、議会勢力は伯仲状態である。

 とりわけ上院議員からホワイトハウス入りさせることは、当面議会勢力を弱めることに直結するから、バイデン氏としては、そうしたくはないだろう。革新派は論功行賞を我慢するべきだ。

 米国に限らないが、この数年、世界中でデモクラシーが後退している。しかも、その旗を振っているのは、現実に政権を掌握している政治家である。議会が機能してないから行政権力が恣意的政治をおこなう。議会活動が活発化して、デモクラシーを育てねばならない。

 わが国では、議会政治が空っぽになっている。前の安倍氏もいまの菅氏も、トランプ氏ほどの「役者」ではないが、自民党が首相を甘やかしているのは、米国共和党とまったく同じだ。