論 考

御邪魔虫

 任期終了を控えた大統領は、いずれも政治力がないレームダックになる。まして、次期大統領が決まった後は消化試合をしているのと同じである。

 トランプ氏が突っ張っても、すでに世界各国から次期大統領のバイデン氏に祝辞が届いている。ホワイトハウスは次期大統領へ、到着した祝辞を届けるサービスをするのが普通なのだが、トランプ氏が敗北を認めていないので、ホワイトハウスに祝辞が数十通滞っているそうだ。

 バイデン氏へ直接届けられるものは影響がない。すでにバイデン氏は電話外交を開始している。

 先日、トランプ氏はエスパー国防長官を解任した。今度は、国立アレルギー感染症研究所長ファウチ氏を解任するような動きがあるらしい。バイデン氏はすでにファウチ氏を次期政権でも仕事してもらう約束をした。

 トランプ氏のおとなげない言動・行動は、ポンチ絵の恰好の題材だけれど、シビヤにいえば、アメリカはただいま政府が2つ存在する。危機状態である。おとなげないではすまない。

 トランプ氏は、いままで吹きまくっていた愛国者の化けの皮を自分で剥いでいる。氏の政治家としての仕事は、国民や国家など眼中になかった次第だ。

 わたしたちが世界の平和を願うとすれば、政治家の人の「質」をよほど見据えて選ばねばならない。御邪魔虫は反面教師であります。