論 考

しっかり舵を取れ

 年末・年始休暇を分散・延長してもらいたいという政府の考えが、17連休と受け止められたらしい。

 直前にコロナウイルス国内感染者が10万人を超えたことが報じられ、欧米の感染拡大が続いているので、誤解された面もあろう。政府当局が関係各方面と十分なすり合わせをせずに発表したことが直接の原因である。

 それ以上に、一方でGoToトラベルや、野球場などで「実験」をするなど、感染収束段階と見られかねない対策が進んでいるから、人々には目下の状況についての理解がしにくい。

 感染拡大防止と経済対策のいずれも大切であるが、この2つは二律背反の典型である。長引くコロナ騒動で、慣れもある。慣れというものは危険と隣り合わせである。

 ここは、政府の責任者が、現状をどう分析しているのか。問題対応をどうしようとしているのか。人々が事情を誤解なく共有できるように見解を発表するべきである。

 そうしないと、アクセルとブレーキを兼用しているのだから、感染拡大へ振れた場合に厄介な混乱を招いてしまう。官僚的態度や言葉ではだめだ。このままでは、安倍氏が思い付き発言で混乱させたことの学習効果が出ていない。