論 考

今回は最高裁だとの声、そして!

 日本郵便に対して、契約社員が、諸手当について正社員との待遇格差があることを訴えていた事件で、最高裁第一小法廷(山口厚裁判長)は、原告の訴えについて全面的に認めた。日本郵便は社員38万人であるが、半分の18.4万人が非正規社員である。

 正規非正規の待遇格差ありとして認められたのは、扶養手当・年末年始の手当て・祝日給・夏冬の休み・病気休暇の5つである。

 戦後、わが国企業は電産型賃金以来、賃金にいろいろな名目の手当てを導入してきた。第一には、原資を最も効果的に配分するためである。組合は、1970年代にかけて、徐々に手当を整理統合して基本給に繰り入る活動を展開してきた。一方では福利厚生面の要求からの手当ても作られた。

 1990年代初頭のバブル崩壊以後、日本企業はコストを徹底して抑制する戦略を取った。企業からすれば、その最大の仕掛けが、非正規社員の増加にあった。非正規社員は正規社員と雇用形態が異なるという理屈のもとに、誰が見てもわかるような低賃金政策が取られている。

 しかも、企業からすれば、非正規社員は新たな契約をしないという合法的! な解雇が自由自在である。働く側としては、この30年来、一貫して低賃金政策と雇用の不安定さに苦労させられてきた。

 原告団のみなさんのご苦労は実った。そして、この裁判結果を見て、働く人々が期待する働き方(労働条件のみならず)は、ただ待っているだけでは手に入らないことに気づかれた人が多いことを期待する。