日々道楽

No.2の価値

 米国副大統領候補の討論に大きな注目が集まった。

 副大統領はvice presidentである。viceの意味は、① 悪徳・悪行・悪習、② 万力、③ ——に代わって、——の代理として、とあり、官職の前につけて副、代理、次の意味となっている。

 viceは、ボスに事故があったような場合に直ちに登板する仕事で、ふだんは格別のお呼びがない。昔、組合活動をやっていたとき、口が滑って「副委員長は盲腸みたいなものだ」とやった。受けたのなんの、さっそく、H支部副委員長から「H支部の盲腸ですが——」と電話が来た。

 失礼なジョークだから、目くじら立てられても仕方がないのだが、皆さんは①でも、②でもない、まともなviceなので、にやにやしながらチクリと来たのである。やられたと思った。

 米国はそうはいかない。なにしろ現職大統領が、もっともらしくもなく、見え透いた・あからさまな・真っ赤な・質の悪い・計画的な嘘を厚かましくがなり立てるのだから、副大統領候補の2人の間では、ジョークらしきものを飛ばすような余裕はない。これ、お2人の本音だと拝察する。

 頭に蠅が止まったが、ペンス氏は紳士である。頭の上の蠅も追えないという俗語があるが、素知らぬ表情で耐えた(と思われる)。ハリス氏もまた、viceが外れることを期待しているなとアゲアシを取られないように慎重な配慮をした。大統領候補の討論を凌駕する雰囲気でありました。