論 考

学術会議問題は民主主義の根幹に関わる

 日本学術会議会員の任命拒絶問題は、科学者の見識の総意を、時の政治権力の支配下に置きたいという自民党の狙いである。

 閉会中審査における質疑は表面的なものである。学術会議創設以来、自民党政権は、科学者の見識が自分たちに不都合なので、一貫してこれを統制するための手練手管を弄してきた。

 学術会議の予算は、世界各国と比較すれば極めて少ない。会員と連携会員が手弁当で活動している実態を考えれば、国民の税金を使っていることを理由に会員の任命拒絶をするのは大きな越権である。

 学術会議は「国民のために」存在意義があるのであって、政権が絶対権力ではない。政権が国の絶対権力であるかのようにふるまうこと自体、民主主義の何たるかがわかっていない。