日々道楽

21世紀的政治に野蛮人は不要だ

 トランプ氏の国連演説は、国内におけるコロナ騒動の責任を中国とWHOにぶつけようという作戦だが、常軌を逸している。1月14日にWHOが、ヒトヒト感染の危険性を訴えて以来、トランプ氏はそれを無視して手を打たなかっただけでなく、感染症対策専門家グループの作業の妨害をしてきた。

 演説直後22日には、アメリカは感染者が685万人超、死亡が20万人を超えた。全米50州のうち、28州で前の週よりも感染者が増加している。このままだと、11月3日の大統領選挙前に死亡はさらに6万人増えると予測する研究者(ワシントン大学IHME)もいるが、大方は、これは控え目だろうと見ている。

 トランプ氏がコロナ対策に本腰を入れなかったのは、大統領の座を確保するためであった。極端な話、国外に罵詈雑言を浴びせるのは、無理筋だから相手に対しては効果がない。いわば国内向け言い繕いにすぎない。しかし、それが米国内の対立を激化させている。大統領選挙戦は、勝つか負けるかが焦点で、目下は「話せばわかる」というような風潮は皆無だ。

 コロナウイルスよりも、権力を握った人間のほうがはるかに危ない。トランプ流の問答無用は、世界中の権力者に感染している。菅氏が、自分の意に沿わぬ人は交代してもらうと語ったのも、極めて品位を欠く恫喝である。21世紀的政治家は、自分だけが正しいと考えてはならない。