論 考

新旧技術!による詐欺事件

 ジャパンライフ詐欺事件の報道を見ると、手口は単純で、芸能人や政治家といった著名人を宣伝道具に使って、被害者をほんわか気分にさせている。ベテランのセールスマンは、「売るものは何でもいい」と豪語するが、1にも2にも人間関係を通して「信頼」を獲得する。

 電子決済サービスを使った詐欺事件は、全く被害者との接点がないから、露見するまでは完全犯罪だ。どなたかの銀行の口座番号・氏名・生年月日・暗証番号が必要だが、インターネットのダークウエブで、流出した顧客情報が売買されているのは常識だそうだ。

 問題は、暗証番号だが、入手した口座番号・氏名・生年月日が1万件もあれば、設定した数字で1件くらいは当たる計算になる。たまたま被害者の口座に預金残高が少なければ引き出されないが、不幸にして! 残高があれば、知らないうちに引き出されてしまう。そこで、自分の情報が漏洩していたことがわかるが、時すでに遅い。

 もともとダークウエブは、米国NSAによるインターネット監視プログラムPRISMが内部告発されて、プライバシー保護目的で開発され利用されるようになったのだから、皮肉である。

 ジャパンライフ事件はアナログ詐偽、電子決済サービス事件はデジタル詐偽であるが、法と技術の抜け穴を利用する手口は同じだ。浜の真砂と詐欺は尽きない。菅氏に聞けば、「だから自助努力なんですよ」と答弁するだろうか。