論 考

誰が長期政権記録を作ったか

 大変な時期だから政治的空白を防いで、安倍政治の継承をするという理屈で菅氏が自民党総裁に選出されそうだ。議員の頭数からして臨時国会で、菅政権発足になろう。

 しかし、コロナ対策は国民の評価が極めて低いので、単なる安倍政治の継承では不満続出になる。ざっと2か月間、安倍氏は記者会見をしなかったが、国民から見ると、病気に苛められていたいたかどうかはともかくとして、この間は政治的空白時期に当たる。

 総裁選出で党員投票をしない理由は、党員の名簿確認に2か月間くらい必要という口実だが、なるほど、昔は党員にポチやタマがいたし、故人になった人の名前もあったから、確認が必要なのかもしれない。しかし、100万人ほどの党員で常時名簿管理ができていないのは、違和感がある。

 やはり石破対策だろう。さらにいえば、安倍政治の継承ではなく、後始末をやらねばならない。なんとしてもモリ・カケ・サクラ、河井夫妻問題などは防御せねばならない。手の内を知っている同志に継承させないと何が起こるかわからない。

 まちがいなく、次元の低い政権継承論である。そして、何よりも注意しておかねばならないのは、自民党の戦略は、政権を手放さないことだ。菅氏は選挙の顔にならないという観測もあるが、追い詰められると何でもありの安倍政治を継承するのだから、顔を隠してでも(冗談だが)打って出る可能性はある。

 さて、巷の人々におかれては、自分の頭で、長期政権の功罪を分別しなければならない。長期政権記録ができた最大の功労者は、国民諸兄であるから。