論 考

反トランプ派の皆さまの健闘を期待する

 アメリカ共和党の大統領候補指名大会を見ていると、リンカーンの共和党の姿はまったく見られず、リベラルは片隅に追いやられているから、デモクラシーの政党ではないことがよくわかる。

 トランプ再選の賭け率は36~43%らしい。しかし、劣勢はトランプ氏にしてみれば覚悟の上というより、だから、なおさら自分がやりたいようにやるという気風である。

 つまりは、この間、ツイッターで嘘やホラや無知にして無恥な内容を排出させてきたが、共和党大会もまったく同じ次元に落ちた。

 人種差別主義者ではないという。これはそのような批判があっても真っ当に答えないという意思表示であり、かつ、徹底的に白人主義者として同好の士を煽り立てる戦略だ。女性の擁護者だと放言するのも同様で、女性の批判に対しては全面的に無視という意思表示である。

 駐ドイツ米国大使が「トランプに対してメルケル氏がうっとりした」というようなバカ話を平然とやる。誰も質問するわけではないし、わたしがそのように見たのだと言えばそれまで。

 おそらく支持率調査がいかにあろうと、それ対応するのではなく、どこまでもトランプ流で突っ走る作戦だろう。アメリカの分断が進むなんてことには一切痛痒を感じない。勝てばいいのよ、という鼻息が露骨だ。

 かくして、デモで反対の意思表示をする人々は全て暴徒である。コロナでの死亡者は18万人になったが、これまた問題外らしい。コロナ対策で大きな成果を上げたと放言するのだから話にならない。

 これから2か月、まだまだとんでもなく奇想天外な仕掛けが出てくるかもしれない。アメリカの人々が、祭りの後の寂寥感に襲われないような選択をされることを期待するのみだ。