論 考

コロナ対策で国会を開け

 国会を開いて、新型コロナ対策につき議論せよという声は当然である。政府与党が夏バテか寝たふりをしていることに批判は大きい。推測すると、まず、政治家自身のコロナ問題に関する知見が少ないのであろう。それは官僚体制においても同様ということになる。

 それなら国会を開いても意味がないじゃないかという声が出るが、そうではない。よくもわるくも、何がどの程度わかっているのか。わからないから手が打てないとして、問題の核心は何か。これらを衆目に照らすことによって、コロナ騒動における問題意識を共有し、1人ひとりが納得づく行動できる。

 3月からでもすでに半年だ。この間、現場にはたくさんのデータが蓄積されており、少なからぬ発見があるはずだ。診療の現場での発見はどんなものだろうか?

 イギリスBBCは、5月末に集中治療室ICUの医師たちの直面した問題・課題についての記事を書いた。たとえば、酸素不足と血管の損傷が重症に関係しているが、ウイルスが複数の臓器を直接攻撃している面がみられ、呼吸器系よりも循環器系の重症が多いという内容があった。あるいは、一部の患者の重症化には遺伝子が関係する可能性が高いという仮説を立てたりした。続報がないが、このような発見は日本の医療現場でもたくさんあるだろう。

 日本では5月末から、多くの医療機関と7大学が連携して、「人種ごとに異なる遺伝子によって免疫応答に違いがでる」という仮説を立て、600人の血液を研究しているという報道が5月末にあった。ウイルスの遺伝子と宿主の遺伝子を解析し、相性を研究するというわけだ。

 3月31日時点で、世界の感染者は80万人超・死亡38,000人で大騒動していたのであるが、8月19日では、感染者は2,200万人超・死亡は78万人超である。検討するべき視点はたくさんあろう。是非、この間の活動・研究成果を公表してもらいたい。