論 考

政府与党の舵取りが勝負だ

 本日の社説は、朝日「GDP大幅減 秋冬の感染増に備えを」、読売「GDP大幅減 不安軽減で消費底上げ目指せ」、毎日「戦後最悪のGDP減少 場当たりでは回復見えぬ」と、4~6月期のGDPが年率換算でマイナス28.7%と発表されたことについて大きく扱った。

 同時期、アメリカはマイナス32.9%、ユーロ圏は40.3%、イギリスは59.8%である。単純に比較すれば、日本の落ち込みがもっとも少ない。数字は結果であるから瞬間風速だけを見て騒動してもあまり意味はない。

 大事なことは、2つある。1つは、危機にあって、活動に「強靭性」がどの程度あるか。そして、危機からの「復元力」がどのように形成されているか。いまは、危機時における「強靭性」をどのように分析するかである。

 輸出はマイナス18.5%で、各国が往来をほとんど停止している事態であるにもかかわらず、数字としては大善戦ということになる。

 最大の課題は消費減少であるが、一方で収入ががたんと減少し、雇用不安もあり、買い物や外食関係の落ち込みが大きいのは誰にでもわかる。それにしてはGDPの減少が少ない、と見ても不思議ではない。

 消費は先々に対する不安が大きいほどへこむ。不安を抑えるためには、コロナ問題の現状について、もっと、具体的に当局が掌握している事実を公開して、よくわからないままに「自粛」気分が拡大しないように、問題を全国民的に共有するのが大事である。

 安倍氏はお休みが取れないほど頑張っている! のだそうだが、1人で悩みをため込んでも仕方がない。手の内をじゃんじゃん公開して、衆知を集めるように計らうのが行政トップの仕事である。それができないほどに過労なのであれば、天下党には立派な人材が豊富なはずであり、仲間内でサポートするくらいの工夫があって然るべきだ。