論 考

思考停止は与件である!

 敗戦75周年、本日の社説は、朝日「戦後75年の現在地 不戦と民主の誓い、新たに」、読売「戦後75年 国際協調維持へ役割果たそう」、毎日「戦後75周年を迎えて 歴史を置き去りにしない」である。

 読売と毎日が「無謀な戦争」と「ポピュリズム」に触れている。読売は、「ポピュリズムが台頭し、無謀な戦争へ突き進んだ」と書き、毎日は、「ポピュリスト政治家とメディアが人々を煽った」と書いた。

 読売の表現では、主語がないので、そのまま読むと、国民の戦争熱が無謀な戦争を引き起こしたみたいであるが、周知の通り人々が気楽にものを言える社会ではなかった。

 政治家やメディアが好戦熱を煽り、煽られた国民がその気になった。為政者はその気になった国民が恐くなって、どんどん開戦へ突き進んだのであって、どう考えてもポピュリズムは為政者の問題である。

 朝日は、国民の思考停止は「凡庸な悪」だとして、今後もくれぐれもご注意くださいという。戦前の国民を、今日流で思考停止というのは後世代の知恵のようである。明治以来、大方の人々はお上の言いなりであった。

 戦後民主主義になって75年過ぎたが、目下、思考停止していないと断言できる人が多いかどうか。それが問題である。

 あえて言いたい、思考停止している人が多数派である。敗戦直後もそうだった。なぜなら、いまだ、かの戦争の国民的総括がなされていない。戦後生まれが国民の85%を占める。戦争の原因を真剣に考える人々を「自虐史観」と罵倒するような連中が増えたことも然り。歴史修正主義といわれる首相が長期政権になったのも然り。

 思考停止継続中。わたしは、これを与件として考える。