論 考

反科学の気風

 米国国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長宅へ、殺害の脅迫状が届いていたそうだ。家族も含めて容易ならざる動揺があっただろうが、氏は、科学者らしいコメントをした。

 いわく、「わが国には一部に反科学の風潮がある。権威に対する反感や不信感もあろう」

 外から見ていると、コロナ対策の諸悪の根源はトランプ氏にあるように思うが、コメントは科学者としての則を越えず、科学者らしく、どこか飄々とした味わいする感じられる。

 わがほうでは、科学者が「憂慮すべき状況」というのに、安倍氏は「直ちに緊急事態宣言を出すような状況ではない」と、まったく意味をなさない発言をして記者会見は十数分で打ち切りだ。

 もちろん、政治家としての判断があろうから、科学者の言いなりで動けとは言わないが、「何を」「どのように考えて」「どうしようとしているのか」、これを語らないのであればサボタージュである。

 動きが取られなくなってからでは遅い。無能で、薄っぺらなパトリオットだという批判をされても仕方がない。こちらは、「神風を待つ」のだろうか。