論 考

マッカーシーの末路に近似

 米国と中国の総領事館閉鎖合戦! の引き金は、大統領選でジリ貧になったトランプ陣営の国内向け巻き返し作戦であることは疑いない。

 中国は対米外交において、自分のほうから喧嘩作戦に出ることはない。いずれもナショナリズムの強い国であるから、メンツ合戦ではいずれも弱腰を見せないのが特徴である。

 今回、米国はD10(G7の米英仏独日伊加+韓豪印)による冷戦構造を組み立てたいようである。いわく、デモクラシーの価値を大切にする信頼共同体によって中国包囲網を形成したい。

 違和感があるのは、その中核にならんとする米国が、デモクラシーを平然と破壊してきたトランプ氏によって率いられている。また、EUやNATOとの関係もトランプ氏が破壊してきた。

 デモクラシー対独裁国家と対置すれば形はつくが、形式があっても中身がぐずぐずというのでは、目論見が容易に進まないであろう。

 いまのトランプ氏は、1950年代のマッカーシーの末路と近似している。マッカーシーは嘘とホラのつき放題で爆走したが、突然失速して舞台から消えた(消された)。マッカーシーとトランプ氏の違いは、上院議員と大統領の違いだけである。