論 考

累卵の危うき

 GoTo事業であたふたしている。熟慮断行でなく、軽挙妄動が安倍内閣の特質である。もっと性根を入れて、現状をどのように分析しているのか、きちんと説明するべきだ。

 もともとわが国は感染症対策に本気で向き合わず、大学の研究予算なども圧縮してきた。いざ問題が発生すると、バタバタとモグラ叩き的に対処するのも特徴であるが、コロナウイルス対策のような厄介な問題は、全局を見通して総合的な舵取りをしなければならない。

 ところが百年一日の如く指摘されているように縦割り行政だ。経済が大切といっても、感染症拡大防止は厚労省が柱となって采配を揮うのが基本的構えであるが、とんと影が薄い。

 それにしても騒動以来数か月、取り組みの体制が固まっていても不思議ではないが、時間が過ぎるにしたがってますますトンチンカンの度合いが深まる。

 コロナウイルス問題が報道に占める割合は多いが、中身がない。この空疎な状況には恐れ入るしかない。現状をたとえれば、積み上げた卵のように不安定で危険である。