論 考

腰が据わっているのか!

 やはり、小池氏の木の葉、いや、言の葉はおかしい。

 届いた都知事選の選挙公報を見ると、手書き文字で「都民の命と暮らし経済を全力で守ってまいります」というコメントに署名してある。これ自体は、よくある陳腐な常套語である。

 しかし、少し前には「今までは自粛だったが、今度は自衛(してくれ)」と語った。自粛は本人がするものだから、行政が自粛してくれというのもおかしな表現であるが、それでも感染を防ぐために「協力してください」と都民に頼んでいたわけだ。

 ところが今度は「自衛」だという。つまり、各自が「自分で身を守れ」というのである。これと選挙公報の言葉は合致しない。選挙公報には前述のように「都民の命と暮らしを全力で守ってまいります」とある。誰が守るのかといえば、この主語は都知事としての小池氏がやるということだ。

 都民は自衛するのだから、小池氏に守っていただくのではない。言葉の小さな違いではあるが、「全力で守ってまいります」というのは、日本的な中身のない「アイサツ」言葉である。

 この間、都民の中でいちばん都民生活全体がわかっている立場にあるのだから、もっと血の通った言葉を語れないのか。希望の党設立の際の「排除します」のほうが、少なくとも本音が出ていた。

 どなたかが緑のタヌキと喝破したが、なかなか言い得て妙である。

 このところ東京は感染者が多い。いかに対処するのか、これは現役都知事としてしっかりやってもらわねばならない。