論 考

コロナとトランプ2大禍に光射すか

 ボルトン氏の「暴露本」出版を差し止めようとして、トランプ陣営は必死であったが、裁判所は出版差し止めをしなかった。

 いわく、国家情報当局の最終承認を得ず、ボルトン氏が出版計画を進めているから、実際に回復不能な損害を国家に与えるかもしれないが、世の中はネット時代であり、出版前宣伝ですでに何十万部も配布されており、読んだ1人がその気になれば直ちに世界中に拡散する。

 これは、合衆国憲法修正第一条を尊重した判決である。

 同条は――連邦議会は、国政の樹立を規定し、もしくは信教上の自由な行為を禁止する法律、また言論および出版の自由を制限し、または人民の平穏に集会をし、また苦痛等の救済に関し政府に対して請願をする権利を侵す法律を制定することはできない――とある。

 出版によって、ボルトン氏が刑事事件で訴えられるかもしれないが、まずは「言論および出版の自由」で行くというわけだ。

 20日(日本時間21日)は、大安! であるが、トランプ氏にとって最悪だった。オクラホマ州タルサでの選挙大集会は、申し込み100万人と豪語していた。会場のバンク・オブ・オクラホマセンターのアリーナは1万9千人収容可能であるが、半分も入らなかった。

 トランプ氏は「PCR検査をやれば感染者が増えるから検査を遅らせるように指示した」などと、またまたトンチンカンなことを語り、ホワイトハウスは冗談だと釈明せねばならず。会場でスタッフ6人の感染がわかったというおまけつきだ。

 トランプ氏はバイデン氏に10%の支持率格差をつけられている。陣営では、「実績を強調すれば敗北必至、バイデンが社会主義だという批判をすべき」というところまで追いつめられている。

 世界196か国・地域のコロナ感染は889万余人、亡くなった人は46万余人になった。回復した人は410万余人である。トランプ氏とコロナを駆逐する方向へ着々歩めば、やがて気分は上等という時期が訪れる。