論 考

都知事選--野党は「奪い愛」で行け

 都知事選に宇都宮氏と山本氏が立候補したので、野党票が割れるという見方が出ている。両者が票を奪い合うというのであるが、果たしてそうだろうか。

 まず、山本氏の票を宇都宮氏が奪うことは少ない。宇都宮氏は野党共闘の仕上がり方次第である。野党共闘から見た場合に、山本氏が宇都宮氏の票を奪うことを心配するわけである。

 両者は、政策に相通ずる部分が少なくないけれども、山本ファンと宇都宮ファンの気質は違う。宇都宮個人票と野党共闘票は、いわばかなり固定的な票のはずで、山本氏に流れるのは多くはない。

 いわゆるノンセクトの浮動票をどちらがたくさん獲得するか。これは選挙戦次第である。選挙戦以前から野党共闘側が、2人が食い合うという見方を流すのは、早くも敗北の理由付けをするみたいで意気地がない。

 要するに投票後に、「宇都宮氏+山本氏」の得票が小池氏の得票を上回っているのに、小池氏に敗北したという場合に、反小池票が割れたというべきであって、いまごろぐずぐず言うのは見苦しい。

 そもそも2人立候補の原因は、野党共闘がすっきりと期待できる候補者を立てなかったことにある。なぜ候補者一本化ができなかったか。各党それぞれが、自分の党の都合を押し出してしまったからだ。野党といっても、失礼ながら目下は小さすぎる。小さくても党であり、政権交代をめざすという心意気は買うが、都知事選で自前の候補者を立てられない程度の力量なのだ。

 野党は消化試合と批判されたくなければ、反小池票をまとめ上げて見よ。票の奪い合いではなく、2人の関係は「奪い愛」で行くべし。