論 考

国は魂を持たない

 他国の選挙を語っても詮無いことではあるが、わが安倍政府が、おべんちゃらを重ねており、しかも世界の秩序を破壊するだけで、いわゆる創造的破壊ではなく、破壊のための破壊をするようなトランプ氏には、これで退場願いたい。

 最近のアメリカを見ていると、1963年の公民権運動が彷彿する。マーチン・ルーサー・キングJr.の演説「We cannot walk alone」や、締めくくりの「I have a dream」が心に残る。もう57年が過ぎた。しかし、過去は過ぎ去った過去ではない。

 1968年には、ニクソンが「法と秩序」を唱えて再選されたが、ご本人がそれを無視して、ウォーターゲート事件で失脚した。いまは、トランプ氏が唱えている。意味がわかっているのか? 支配層が「法と秩序」を口にするときは、政治が乱れている。

 トランプ氏は必死だ。落選すれば、トランプ・オーガニゼーションがどうなるかわからない。自身が訴追される危惧もある。だからなんでもやりかねない。

 内外政治情勢を見ていると、国なるものは魂を持たない。誰が、なぜ、何をやっているか――これが、国の活動を生かしたり、ダメにしたりする。