論 考

株と実体経済の乖離

 米国の政策研究所が、6月18日からの3か月に、米国富裕層の資産が19%増加したと発表した。増加額は5,650億ドル(62兆円)・19%増。富裕層の資産は3.5兆ドル(384兆円)になった。

 米国の5月の失業率は13.3%(前月14.7%)で、回復するかに見えているが、失業手当申請4,300万人であって、依然きびしい。

 富裕層の資産が増加したのはFRBの金融緩和が奏功して、株式市場で大幅値上がりしているためだ。実体経済と乖離した結果であることは明らかである。

 金融政策では国民生活を守られない。社会生活が混乱を極めているのに株だけが上がるというのもおかしな話だ。

 米国では、最近株主至上主義の経営を懐疑する意見が高まっている。その背景には、数年前から資本主義に批判的な若い世代が増加していることがある。

 単に富裕層が儲け過ぎてけしからんというのではない。資本(主義)が社会生活と無関係な動きをするのであれば、そんな社会を歓迎する人は少ない。