論 考

電通は国策会社か

 本日の社説は、「給付金の委託 政府は疑念に答えよ」(朝日)、「給付金業務の委託 不透明さに疑念が深まる」(毎日)が、いずれもコロナ経済対策の持続化給付金支給について主張している。5月29日の東京新聞の報道に始まって、行政と電通の麗しい協力関係が浮かんでくる。

 経産省中小企業庁から一般社団法人サービスデザイン推進協議会へ委託費769億円が渡り、推進協議会から電通へ749億円、全体の97%が再委託された。さらに電通から子会社5社へ709億円で再々委託された。

 少なくとも協議会が20億円、電通が38億円を受け取る。いわば委託手数料だから、初手から電通へ委託すれば済むことだ。

 協議会が理事8人は非常勤、従業員21人の陣容であるから、常識的には大きな仕事ができる体制ではない。報道ではほとんど実体がないようだ。

 経産省の入札にも疑念が持ち上がった。総合評価方式だから、本当に公正にやったのかというわけだ。協議会は設立した2016年から15回応札しているが、14回受注している。

 協議会を作ったのは電通やパソナなど。協議会の定款は経産省情報システム厚生課で作成されたという話も出てきた。

 経産省は丸ごと再委託を禁じているが、これにも違反しているではないか。給付金が届かないという中小事業者の悲鳴が上がる。行政と電通の関係はまことにスムーズに構築されているのであるが——