論 考

保安官は大統領より偉大だ!

 6月1日、トランプ氏が演説で、警官による黒人男性圧殺事件の抗議活動に対して、ワシントンに多数の警察官と重武装の兵士を配備すると語った。通常は州兵が配備されることがあるが、米軍を配備することはない。

 ニューヨーク州クオモ知事やバイデン氏は「国民に向けての軍動員」だとして強く抗議した。共和党の州知事も反発している。

 その後、トランプ氏がセントジョンズ米聖公会教会で聖書を手にして写真撮影をしたのも大反発を食らった。聖ジョンはヨハネである。米聖公会ワシントン教区のマリアン・ブッド主教は「教会を小道具に使った。(トランプ氏に)ヨハネを代弁してほしくない」とこれまた厳しい。

 一方、抗議のデモ隊の警備に来たクリス・スワンソン保安官が、警棒を下ろしてデモ隊に語りかけた。「わたしは、あなた方が声を上げられるようにここに来た。パレードにしたい」。

 デモ参加者とハイタッチする写真が全米に流れるや、「Walk With Us」がネット上に流れた。

 「目には目を、火には油を」がトランプ流だが、1保安官のエピソードは、アメリカ民主主義が健在に見えて、心地よろしい。