論 考

タマネギ部隊

 人間は日常的な行為を反復するような世界で暮らしている。頭の中で何を考えるか、そして現実にいかなる行動をするか。その行動によって人間は他人とは異なる個人になる。これが、個性だとか自我というものである。

 ところで、大方の人は頭の中で考え、こうしたいと思っても、必ずそのように行動するとは限らない。KY――空気を読むわけだ。だから、自分がしたいことと行動の間には裂け目が生じやすい。

 社会なくしては生きられないことを誰でも知っているだろうが、一方で、他人と同じことをしたくないという気持ちがある。そうではあるが、他人と異なって自分がはぐれているというのも嫌だ。

 ラジオで、街頭インタビューに応ずる人のコメントがいずれも極めて似たような内容になるのは、後者の意識が強くでているのだろう。

 もちろんラジオ局が選別しているからかもしれない。いずれにしても、聞いているものにとってはでき過ぎていて! 面白くない。

 パタリロ的タマネギ部隊ばかりになってしまっては退屈だ。「新しい生活」などと言われるとすぐにわかったような心地になる。すべてが善意からでているものだとしても、新しい言葉が登場したときには、自分の頭できちんと概念を押さえねばならない。