論 考

内の課題、世界の課題

 本日の社説のタイトルは、次の通りだ。国内の課題が一応揃ったといえる。

 朝日「緊急事態延長 長丁場想定し戦略描け」、読売「緊急事態延長 医療体制整え長期化に備えよ」、毎日「緊急事態の延長 長期化に向き合う支援を」、日経「感染防止と経済の両立へ 出口戦略を示せ」。

 長丁場になりそうだということは、世間の大方の皆さまはすでに予想済みである。昨日の記者会見で安部氏はようやく、PCR検査が着実に増加していないことを認めたが、機材不足・人手不足は初めからわかっていたことであって、いったいどのような工夫をしてきたのか。

 朝日の長期戦略論からすれば、客観的には「自粛」一本鎗できたことがすでに明白である。読売の医療体制論も、医療体制を整えるための「自粛」推進であったはずだ。日経の出口戦略論からいうならば、すなわち、長期戦略なしで時間を過ごしてきたことが、また白日のもとに明らかになった。

 「専門家会議」が、依然として力を入れているのは「自粛の仕方」にあって、いままでどんな科学的発見があったのか、科学的見地からいかなる取り組みを推進するのかなど、相変わらず何も出てこない。門外漢が失礼を顧みず疑問を呈するならば、専門家会議はいかなる専門性に基づいて研究しておられるのか。

 もう一つは、国際的動向である。4日にEU主導で40か国による国際ビデオ会議が開催されて、ワクチン・治療法・検査方法などの資金がとりあえず74億ユーロ(8,600億円)集まった。アメリカは不参加である。ようやくグローバル時代らしい協力体制が登場したことを歓迎する。

 1960年代にはアメリカが「世界の警察官」であることに対して強い批判が主流だった。トランプ氏以前には西側の論調は歓迎が主流になっていた。わたしは正しい論調はアメリカ的「世界の警察官」歓迎論であってはならないことを確信している。

 歓迎論が主流を占めるような形勢であったからこそ、トランプ氏の「アメリカ・ファースト」論が大きな顔をして台頭したのだということを忘れないようにしたい。