街を歩いていると、どこかで見たような奇妙な心地になって、しばらく考えて思い出した。ギャグ漫画の『パタリロ!』(魔夜峰央)だ。
わたしが編集していた組合の季刊雑誌に評論を掲載したのは1982年であった。調べてみると『パタリロ!』は1978年から『はなとゆめコミック』に掲載が開始されて、いまも続いているそうで、単行本は120巻以上らしい。
当時20代に高い人気を誇っていたから、読者のみなさんは60代になり、なおかつどんどん新しい読者も獲得している。といえば『銀河鉄道999』『Dr.スランプ』も流行っていた。
主人公のパタリロはゴキブリ的生命力と猫的運動神経の持ち主で、人をおちょくる天才。その親衛隊がタマネギ部隊で美少年揃いなのであるが、これが普段は全員マスクをしている。そんなことを考えていると街で出会う方々がみなさま美男美女に見えてくる。
大杉栄(1885~1923)は、「軍隊の足並みは揃うものだ」と言ったが、対ウイルス専守防衛の形もまた揃うわけだ。
ところで、ロイターによると、ドイツでは感染の最初が、某自動車工場におけるランチの際、1人の従業員が「塩を取ってくれ」と同僚に頼んで、塩を手渡しされた際、ウイルスも手渡しされた――というところまで突き止めたそうだ。ドイツの感染経路追跡対策の徹底ぶりがわかる。