論 考

基本戦略ができていないからだ

 11日の社説は、朝日「都の休業要請 混乱を教訓に連携密に」、読売「都の休業要請 国と連携しつつ対策を進めよ」と似たような内容である。日経が「休業の要請に待ったかけた国は猛省を」とひとり気を吐いている。

 緊急事態宣言後の都と国のすったもんだは、都が休業に踏み込んで早い対処をしたかったのに対して、国は時間をおいて様子を見てから休業にするという考えである。

 緊急事態宣言を打ち出しているのに、様子を見るというのは論理的におかしいから、日経が国に猛省を促したのは正しい。

 いまだ国は基本戦略ができていないようだ。すなわち、感染抑制か経済か2面作戦での舵取りである。国が、自粛を押し付ければ補償問題が発生することを警戒しているという観測が出ているが、本当にそうであればまったく事態の深刻さがわかっていない。

 すでに飲食店では客離れが著しい。そうであれば、休業と商売の違いは極めて接近している。某社長は、「(店を)開けるも地獄、閉めるも地獄」と語ったが、まったくその通りである。人々が安心できる段階まで可及的速やかに感染抑制策を先行するのが筋である。