論 考

招致疑惑再び

 五輪招致委員会の口座について、取引明細書のある資金取引3,000件以上を調べたとするロイターの記事(3/31)は、今後の波乱を予想させる。

 現在組織委員会理事で元電通専務の高橋治之氏に、同氏の会社コモンズ経由で、招致委員会から8.9億円送られた。これは、高橋氏が招致のロビー活動をするのに使った。2016年リオ五輪で200万ドル収賄疑惑のディアク氏にも手土産を渡した。セイコーウォッチだというのだが、詳細はわからない。

 招致委員会理事長であった竹田恒和氏は、高橋氏にディアク氏に対するロビー活動を頼んだ覚えはないという。

 高橋氏は、民間企業からスポンサー費用を集めた際、コミッションを取っていたと、招致委員会事務局長の樋口修資氏が証言している。

 ロイターがこれらに関して政府に質問したが、政府(西村明宏官房副長官)はノーコメントである。

 東京五輪招致に関する疑惑についてフランス検察が調査しているというのは周知の事実である。疑惑をかけられた竹田氏が明確な釈明をせずにうやむやになっている。疑惑はすっきり晴らしてもらいたい。