論 考

確かに儲けるチャンスではあるが

 米国立衛生研究所(NIH)の国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)で、COVID-19に対するワクチン開発のための臨床試験が開始した。45人の健康なボランティアが参加する。期間は6週間だそうだ。

 バイオベンチャーのモダーナが、1月10日に新型コロナ・ウイルスが特定されてから42日間(2月下旬)で開発して、3月16日にNIHへ届けられた。モダーナはスタッフ100人ほどで猛然と開発を進めた。目下、世界各国で有力な企業・機関がワクチン開発に挑んでいる。

 アメリカがワクチンの独占権を狙っているという報道が3月15日、ドイツの『ウェルト』にすっぱ抜かれた。ドイツのキュアバックが夏までにはワクチンを開発すると発表した。同社のCEOメニケラ氏が3月にアメリカで会合した際、アメリカが同社の研究拠点をアメリカへ移す提案をしたというのが『ウェルト』の報道である。

 ドイツ政府は直ちに行動して、この動きを阻止した。独占するなど「倫理にもとる」というわけだ。アメリカ政府は『ウェルト』の記事は誇張だとコメントしたが、メニケラ氏がワクチン開発見通しを発表した数日後解任されたので、ガセネタでもないようである。

 2019年に「HINI」インフルエンザが流行した際、ワクチンを豊かな国が買い取り契約で独占しようとした。実際、ワクチンが開発されても生産体制を整えるには莫大な資金が必要である。商魂はワクチンをも儲けの種にすると笑い飛ばすには、いやらしいニュースである。