論 考

コロナに負けず雇用を守る

 社会というものは、普段は大きくてまるで手応えがないが、目下の事情においては、誰もが「自分が社会」であると感じているのではなかろうか。

 ウイルスを避けるためには、行動範囲を狭めてじっとしているのがよろしいが、全員がそれをやれば社会は動かない。難しくても行動しつつ用心して暮らすしかない。

 それがいちばん典型的なのが産業活動である。とりわけ働く人の生活確保をきっちり取り組みたい。労働組合においては、1人ひとりがみんなの暮らしを守るという基本的精神を確認してほしい。

 もっとも警戒しなければならないのが、雇用である。しわ寄せされるのは弱い立場である。非正規社員の雇用を守りたい。

 2001年に米国同時多発テロが発生したとき、航空業界は一挙に不振に直面して、多くの航空会社が人員整理に走った。ドイツのルフトハンザ航空は、社員12,000人の1/3を整理する必要に迫られたが、労使協議を深めて一切人員整理せず、ワークシェアで対応した。賃金・一時金も抑えたが、同時に長時間労働にメスを入れて、時間短縮を実行した。

 わが職場は長時間労働、有給休暇がとれない事情がある。この際、これらをセットで考えて、雇用を守る態勢を確立したい。

 連帯がなくなったとぼやく人は少なくないが、連帯は、いまのようなご時世でこそ構築していくものである。