論 考

資産バブル崩壊の危惧

 世界の累積債務はすでにGDPの3倍以上になっているらしい。まちがいなく資産バブルである。

 アメリカ経済の2/3は個人消費が支えている。消費動向は株価の好調と極めて強い関係にある。ところで、アメリカの所得下位80%の人々の平均実質賃金は1974年の水準でしかない。先進国経済は1974年がピークであったというマクロ的な見方が現実化している。

 また、2012年から20年までの企業利益拡大分の2/3は、17年の大型減税からの資産拡大による。GDPと税収の伸びは株価上昇に依存しているのがアメリカ経済である。

 経済を維持するには株価を維持せねばならず、資産価格拡大は大減税によって作られたのだから、いままでの減税効果を維持するためには、さらなる減税をやるしかない。

 そこへCOVID-19の襲来である。資産バブルがどうなるか。ウイルス対策と同時に、世界経済の舵取が大問題である。米国が中国に対して仕掛けた経済戦争のツケが世界中のクビを締めつつある。