論 考

神経戦には国民的良識

 世の中は何が起こるかわからない。これは庶民的体験である。異変発が発生した当初、戸惑ってじたばたするのは仕方がない。ただし、いつまでもじたばたしていては具合が悪い。そこで事態を観察し、すでにある知見に照らして、慎重に対応策を作って行動する。

 いままでのところ、国内ではCOVID-19の爆発的感染拡大がないのは極めて上等だ。いわゆる遮断対策が効果を発揮していると単純に考えてはならない。なんとなれば大都市では通勤電車など交通網に膨大な人が集まる。相当減ったとはいえ、通勤はおおいに注意して観察せねばならない。

 1つひとつの対策を慎重に押さえていくことが何よりも大事である。理由がはっきりしない政治的決断なるものは、とにかく危ない。政治的決断ではなく、考え得る最大の科学的判断による決断こそが王道である。

 政治家・官僚諸君は、目に見えないウイルスに対する人々の不安や憤りが、おれたちに向けられていると妙な被害者意識を持つ必要はない。それどころか、一挙手一投足が注目されている。檜舞台で芝居をしているのである。

 だから、まずは、何よりもきちんとした仕事をする。たとえば閣僚らによる対策連絡会議の議事録が取られてないというような指摘が出れば、直ちに改める。揚げ足を取られたなどとすねた考えを抱くのはだめだ。

 目下、神経戦の真っただ中である。国民諸兄がばたばたしないのは最大のウイルス対策である。