論 考

かけ声対策で浮足立つ

 昨日時点で新型コロナ・ウイルスは、感染が47都道府県中25で317人・死亡6人(チャーター機帰国・クルーズ船を除く)になった。

 2月24日に安倍氏が、「これから1~2週間が拡大か終息かの瀬戸際だ」と語ったので、2週間は9日である。目下、少しずつではあるが増え続けていて見通しが立たない。

 昨日政府は、中国・韓国からの入国者は、成田・関西空港に限って、2週間待機してもらうこと、マスク転売禁止を表明した。また、本日6日からウイルス検査が医療保険適用となる。全国860か所でPCR法による検査をする。

 今度は、緊急事態の特別措置法を改正する政治日程だが、見えざる相手対策で仕方がない面があるとはいえ、恰好つけるばかりだという批判を否定できる内容ではない。

 なにしろ、日ごろ議会でちゃらんぽらんな答弁ばかりしているから、安倍氏が2月29日に、「私の責任で万全の対応をとる」と見栄を切ったものの、おそらく安倍氏支持者におかれても信用している人は少ないだろう。

 ましてや、記者の質問を打ち切って遁走するような始末であった。

 特措法を改正しても、実際の対策が効果的になる保障はまったくない。問題は制度の不備にあるのではなくて、政治的対策の不備である。

 だから、緊急事態を口にすればするほど、人々は浮足立つ。たとえば、医療機関の受け入れ体制や、医療従事者の対応は大丈夫なのか。感染しても医療機関体制がきちんとしていれば、不安をかき立てる勢いは減少する。

 現状認識を国民挙って把握できるように、ばたばたと「かけ声対策」に熱を上げるのではなく、疑問点にきちんと応ずる基本姿勢を確立するべきだ。説明責任が十分に果たせていないのは、与党の諸君も十分にわかっているだろう。自民党の挙党一致体制すらできていないではないか。