論 考

EUの混迷が続く

 フランスのマクロン大統領の支持率が30%台前半で低迷中である。

 黄色いベスト運動は縮小したが、公務員の年金改革案反対で交通機関などのストライキ行動が3か月を超えて続いている。

 この3月には統一地方選挙が予定されているが、このままではマクロン氏が立ち上げた共和国前進の大敗は必至だという見方が支配的だ。パリ市長選挙でも、与党は候補者を絞り切れていない。

 その間隙を突いて、ルペン氏の極右政党が勢力拡大を虎視眈々狙っている。彼らの目下の作戦は穏健! を装うことである。

 フランス人は元来反権力の精神が強い。マクロン氏の年金改革提案には賛成する人が多いが、その強引なやり方が気に入らないという気風らしい。マクロン氏が世情に疎く、傲慢だという批判も相変わらず強い。

 ドイツでは、メルケル首相の与党CDUのカレンバウアー党首が辞任した。彼女はメルケル氏後継の首相候補であったが、仕切り直しになる。

 EUからイギリスが離脱し、EUはその厄介な後始末を抱えている。その中核のフランスとドイツが混迷を深めている。欧州大陸は依然として政治的混沌を抜け出す兆しが見えない。