論 考

ニンニクとラッキョウ

 新型コロナ・ウィルスの取り組みは、12月8日に事態発覚以来、1か月以内に遺伝子配列が解析された。中国では2月初めに15分で検査ができる検査キットを作った。

 本欄で3日、4日に『微生物の狩人』を紹介したが、18世紀初めに素朴なレンズで微生物が発見され、19世紀に実験医学が開始された時代からすれば、さすがに現代は研究ペースが進んでいる。

 そうではあるが、まだ、感染力や致死率が明確になっていない。研究関係者のご尽力に期待する。

 1月27日から2月2日までに、マスク187億円の売り上げがあったそうだ。昨日、新大阪駅から地下鉄御堂筋線に乗ったが、本格的な防塵マスクをつけて歩いている人を見て、ギョッとした。

 ネット上ではいろんなデマが飛び交う。ニンニクが防御対策になるというような話をする人もいるそうだ。1945年、敗戦前の3月ごろには、「赤飯とラッキョウを食べれば爆弾に当たらない」なんてデマが巷に出回ったこともある。

 まあ、自分のオツムが空っぽなことを公表するだけだから、どうってことはないけれども、防疫に苦労している方々の子弟をイジメるというような話を聞くと、まことに情けない。

 時移り時代が変わっても、人間という生物は容易に理性的にならない。ウィルスよりも質がよろしくないかもしれない。