50年前に購入した平凡社『現代思想シリーズ』(全22巻)は、1冊500円。たぶん薄給3万円程度であったから、無鉄砲な買い物だった。
なにが無鉄砲かというと、そもそも字面は読めても中身の理解がとてもできなかった。いま読んで、お手上げの論文が少なからずなんだから——
自慢できるのは、素晴らしいラインナップで、いま読んでも非常に有益なのであって、少なくとも投資の方向が正しかった。ハハハ。
たまたま昨日は、1つ『美の冒険』の中の「新しい音楽について」(ピエール・ブールーズ 1925~2016 仏)を読んだ。
音楽の世界で、美学的投企が不十分で技法や手法にのみ専心している事情に警鐘を鳴らしている。
美学的投企が一筋縄でいかぬことは当然。作品を創造するための苦心・葛藤が半端ではできない。
音楽に限らず、「どこへ行くのか」という深遠な方向性を常に見つめないと、ろくな仕事はできないからなあ。